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2026年9月16日水曜日

山下大五郎が描いた安曇野の風景を訪ねて ― 蔵

 



開館に向けて準備を進めています

大町山麓美術館では、10月2日からの開館に向けて、少しずつ準備を進めています。


当館は、長年にわたり収集してきた作品を、北アルプスの麓・大町の地でゆっくりご覧いただきたいという思いから始めた、小さな個人美術館です。


展示の中心となるのは、安曇野や北アルプス周辺の風景を数多く描いた洋画家・山下大五郎の作品です。あわせて、山岳画家・足立源一郎の作品、地域にゆかりのある相道寺焼などもご紹介します。


現在は、作品の展示だけでなく、キャプションの整備や作品資料の確認、山下大五郎が描いた場所をたどる「スケッチポイント」の調査なども進めています。


作品については、できる限り図録や記録などの資料にあたり、確認できた事実と推定を区別しながら紹介していきたいと考えています。


大きな美術館ではありません。


昭和の木造民家を改修した約90㎡の建物で、作品との距離が近く、静かな環境のなかで一枚一枚をご覧いただけることが、当館の特徴です。


10月2日から10月20日までは、まずテスト内覧という形で皆さまをお迎えします。


完全予約制で、開館時間は10時から16時まで。鑑賞時間はおよそ1時間を予定しています。


小さな美術館だからこそできる展示や調査を、これから少しずつ積み重ねていきます。


開館まで、あと少しです。


皆さまに作品をご覧いただける日を楽しみにしております。


大町山麓美術館

2026年9月5日土曜日

AI学芸員

 大町山麓美術館では、AIを活用した「AI学芸員」と一緒に、所蔵作品や作家についての調査・研究を進めています。


といっても、AIに作品のことを聞いて、その回答をそのまま展示に使っているわけではありません。


むしろ、AIを使えば使うほど大切だと感じるようになったのが、「一次資料」と「現物」です。


現在、当館では山下大五郎、足立源一郎を中心に作品を収集・展示しています。作品そのものはもちろん、画集、展覧会図録、記録、作品の裏書、出品歴などの資料を確認しながら、一点ずつ情報を整理しています。


最近は足立源一郎について、まとまった一次資料をAI学芸員にも読み込ませました。


すると、インターネット上にある断片的な情報だけを調べていた段階とは、かなり違うところまで調査できるようになってきました。


たとえば、作品名や制作年代、展覧会への出品、画家の行動や交友関係などについて、資料の記述と実際に当館が所蔵している作品を照らし合わせることができます。


もちろん、AIが答えたから正しい、とは考えていません。


資料に何と書かれているのか。

実際の作品には何が残されているのか。

裏面には何が書かれているのか。

別の資料と矛盾していないか。


そうした確認を重ね、分からないものは「分からない」として残します。


AIは大量の資料を整理したり、離れた場所に書かれている情報同士の関係を見つけたりすることが得意です。一方で、作品を実際に見て判断することや、資料そのものの信頼性を評価すること、最終的な展示方針を決めることは、人間が担わなければなりません。


当館では、長野県の美術館で長く実務に携わってこられた小林明先生から、展示やキャプションについてご指導をいただいています。


AI学芸員の能力を活用しながらも、AIだけに頼らない。


これは、これからも大切にしていきたい考え方です。


美術館の仕事は、作品を壁に掛けて終わりではありません。


誰が描いたのか。

いつ描いたのか。

どこを描いたのか。

どの展覧会に出品されたのか。

そして、その作品が画家の生涯の中でどのような位置にあるのか。


一つずつ調べていくことで、最初は一枚の絵だったものの後ろに、画家の人生や時代が少しずつ見えてきます。


AI学芸員は、その調査を手伝う新しい道具です。


そして面白いことに、資料を読ませれば読ませるほど、AI学芸員から返ってくる答えも変わってきます。


当館にとって必要なのは、世界中のあらゆる美術について何でも答えるAIではありません。


山下大五郎や足立源一郎、そして当館が所蔵する作品について、資料を積み重ねながら理解を深めていくAIです。


明日は、山下大五郎についての資料をさらに読み込ませる予定です。


人間が作品を集め、現物を確認し、資料を残す。

専門家から助言をいただく。

そしてAIが大量の情報を整理し、調査を補助する。


小さな私設美術館だからこそ、こうした新しい方法も試していきたいと思っています。


AI学芸員がこれからどこまで成長するのか。


館長自身も楽しみにしています。